2009年6月16日
京都で「維新の時代の人々」という本を買ったとき、つ
いでに「京都名坪庭」「京都名庭園」という小型の写真
集も買った。
名庭園の方はそのほとんどが寺や神社の庭を紹介してい
るが、名坪庭は寺神社だけでなく個人宅のものも紹介さ
れていた。坪庭と言ってもそれなりに大きな物もあるが、
個人宅の坪庭には、文字通り2坪ばかりのちいさな庭も
ある。
我が家はマンションだから坪庭などないが、仮に坪庭を
作るとしたら・・・どれがいいかなと、あたかも、今か
ら坪庭を作るが如く参考にして見ていたが、ひょんなこ
とが気になった。どの坪庭も障子など開けっぱなしにし
て部屋から観賞するようになっていて、虫とか蟻とか蚊
とかが家に入りこまないんだろうかと思ったのである。
わたしが育った家は岡崎の町の外れにあるちいさな木造
住宅だったが、夏は簾などたらしているが風を通すため
に窓や玄関などは開けっぱなしで、そんなもんだから、
蟻は入り込んでくるわ、蚊は入り込んでくるわ、カナブ
ンなど電灯めがけて飛びこんでくるわ、ゴキブリなど自
在に出入りしていた。蚊取り線香、はえ取り紙は必需品
で、台所にぶらさがったはえ取り紙にははえがべたべた
とくっついていた。ちゃぶ台にははえ除けのための大き
めの丸い網がおかずにかぶさっていた。
ファーブルや手塚治虫とはちがい、虫はこどもの頃から
好きじゃなかった。近所のガキは夏休みになれば近くの
山にでかけ昆虫採取をしたがわたしはでかけたことがな
い。カブトムシや大型のくわがたが虫かごに入ってるの
を見て、うらやましくもあり敬意も表したが自分でつか
まえる気にはならなかった。
写真に写っている坪庭を持つ京都のご家庭は、夏はいか
がな生活をされているんだろう。わたしが少年時代を過
ごしたあの家のような生き物同居生活で暮らしているん
だろうか。伏見稲荷の参道の食堂も表は参拝客、観光客
にむかっておおきく開かれており、中に入れば庭に面し
裏も大きく開かれている。風が抜けて気持ちがよいのだ
が、俺が虫君だったら忍び込みは自在だ。
どーなってんだろうと写真集を見せエサジイに聞くと、
自分の家の近所に中学生や高校生が店の前にたむろして
近所迷惑なコンビニがありますが、10代の青少年少女
にしか聞こえないヘルツの音をだす装置が取りつけられ
てから、たむろしなくなりました。親戚の娘に聞くと、
なんかヘンな音がしていやだといってました。われわれ
おっさんには聞こえないそうですが、ま、そういうこと
で、虫君には気に障るけど人間には気にならない超音波
を出す虫除けの装置が取りつけられているんじゃないで
すか。気に障るどころではなく殺虫装置かもしれません
が。というのが答えだった。
かもしれんが、あの写真の雅趣なたたずまいの陰にそん
なおそろしげな装置が隠されているようには見えなかっ
たなあ。