モーツアルト
クラッシックは好きではない。どうも馴染みがないからね。
という人が大勢いると思う。これはひとえに、高校の音楽の授業
のあり方におおいに問題があると思う。
(あくまでも個人の経験にすぎませんが)。
中学までは、いちおうフォスターとかのアメリカの名作品などを
先生の指導で合唱したり、リコーダーの合奏があったりと、歌が
好きで楽器も上手に出来る子にとっては楽しい授業で、特に歌や
楽器が得意でない生徒にとっても、英語や理科や数学などと違い
メンドクサイ文法や公式や計算などしなくてもよく、成績が良く
ないからといって責められることもなく楽な時間だった。
ところが、高校の音楽の授業は(今は知りませんが私の頃は)や
たら「音楽鑑賞」といってクラッシックを聴かされた。先生は丁
寧に、この曲の魅力はナンであるカンであると説明してくれ、聴
きどころを自らピアノで演奏してくれるが、音楽鑑賞が始まって
しまえば、よくわからない長大な楽曲を20分も30分もただた
だ聴いているだけで、昼飯を食ったあとの午後の授業時間などで
窓際の陽当たりの良い席にすわっていたりすれば必ず途中で眠っ
ていた。音大を目指すわけではなくただ寝ていればそれで良し!
というならいうことないじゃないかと思えるのは今だからであっ
て、その当時、ビートルズやローリングストーンズやマイルスデ
ビスに狂ってしまっていた高校生にとっては、あの時間は拷問の
ように感じた。音ガ楽ではなく音ガ苦であったのだから、クラッ
シックに馴染まなかったのは、人はともかく自分はそうであった。
随分前。ロンドンで知り合ったロックミュージシャンがクラッシ
ックは最高だ!というので、何を聴けばいいのだと質問すると、
モーツアルトとストラビンスキー。この2つを聴けばそれでOK
だと云われたことがあった。それならばクラッシックの膨大な海
の中で迷うこともあるまいとこの2人の作曲家のレコードは随分
買った。
そして今は、聴けば聴くほど素晴らしいものである事をわかって
いる。素人はともかくもプロに、クラッシック=モーツアルト&
ストラビンスキーと答えると、ナルホドと合点してくれる人が多
いことも知った。
そのモーツアルトが売れに売れている。ここ数年の日本では、J
—POPに迫る勢いで売れている。その原因は「あるテレビでと
りあげられた」から、そして勢いがついてまた「音を分析してみ
ると脳波にやさしいとテレビでとりあげられた」からと、なにか
とテレビが一役買っているのだが、なにはともあれクラッシック
が普及することは喜ばしい限りである。
余談めいた話になるが、今朝の新聞に、現存するモーツアルトの
頭蓋骨がDNA鑑定された結果、モーツアルトであるとは鑑定で
きなかったとの記事も掲載されていた。これは、モーツアルトの
祖母と姪の骨から検出されたDNAと頭蓋骨から検出されたDN
Aが3体とも全く違っていて、もともとこれらは血縁関係にない
のではないかとあらたな謎めいた結果ともなり、しかもこのモー
ツアルトの生まれ故郷のザルツブルグにある国際モーツアルテウ
ム財団の保管するモーツアルトの頭蓋骨といわれるものは、墓を
掘り起こした墓堀人が「これがモーツアルトの頭蓋骨」と言った
という証言の伝聞でしかなく、『真贋決着つかず』と謎のままに
終わったと報じていた。
35年という短い生涯で世を去った天才モーツアルト。
今年は1年かけてモーツアルト作品すべてを聴くことに挑戦して
みようと思っている。まず、夕方にタワーレコードに出かけ品揃
えをすることからはじめよう。