2006年3月2日
春3月ですが年賀状の話をしたい。
我が社の年賀状は特殊な形状でありましていわゆる年賀葉書では
ありません。
ある年の正月のこと。会社に送られてきた数百の年賀状を1枚1
枚見ていて、この年賀状は面白いとか。この年賀状はデザイン事
務所の年賀状にしては、いまひとつデザインセンスが普通すぎる
なとか。今年の年賀状大賞はどこの会社の年賀状だろうかと、送
られてきた年賀状をスタッフ数名とわいのわいのと値踏みしてい
る時に、さて、この膨大な数の年賀状はいつまで手元に取り置い
ているんだろうかと気になった。
聞いてみると、住所の確認等もありしばらくは手元に置いてあり
ますが、それも時間がかかるわけではないので確認事が済み次第
処分をしているとのことだった。
田舎の年老いた両親からの年賀状や遠く離れて暮らす娘息子夫婦
からの年賀状は家庭では大事に保管しているのだろうが、会社に
届いた年賀状はどの会社でも長くは保管していないだろう。
となれば、我が社の年賀状も松の内が開け、如月節分の候になれ
ば友人・知人・取引先の会社でも処分されるのだろう。
年賀の挨拶は、歳時記でもあるからそれはそれでかまわないが、
でも、、、今年の干支は戌(いぬ)で12月31日まで戌だから
戌と書でかかれたり可愛らしい戌がデザインされた年賀状があた
かも1月が過ぎれば用無し物になるのはいかがなものだろうかと
考え、「捨てられない」年賀状にしようと思い立ち、まず、第一
葉書がいかん。ありがたみがある形でないといかん。ありがたみ
があれば1年中取り置いてもらえるだろう。取り置くだけでなく
壁などに貼ってもらえるだろう。ありがたみがある物と言えば神
社のお札などはそうだろう。初詣にていただいた神社のお札を正
月が終わったからと捨てる人もいないだろう。神社でいただくあ
の縦長の札と同じ形をした年賀状にすることにしました。
1年間貼ってもらう事を主題にしていますので紙などではなくプ
ラスティック製です。デザインが肝心です。この形状になってほ
ぼ10年ほど経ちますが、今まで2人にデザインを依頼していま
す。初代は画家でした。その画家とは花を中心に『洋』を追求し
ました。2代目は友人のアートディレクターです。そのアートデ
ィレクターとは徹底的に和を追求したデザインになっています。
送った会社からは「毎年楽しみにしています。もちろん壁に貼っ
てありますよ」となかなかの好評をいただいているが、京都で決
定的な事が起こった。
1月に京都南座で市川染五郎さんの「八咫烏(やたがらす)」と
いう歌舞伎が興行され、たった1日の興業であったため切符が手
に入らなく、京都の花柳界では大騒ぎになったそうですが、その
歌舞伎の打ち上げが或るフランスレストランで行われました。
そのオーナーシェフは私の古くからの友人で、当然その店にも我
が社の年賀状が飾られていました。それを見た歌舞伎界の大御所
の方々が「素晴らしい!」と口々にお叫びになり、どうしても欲
しいと懇願され、打ち上げ食事会で大御所の方々の大ジャンケン
大会がおこなわれ、我が社の年賀状を手に入れられたそうです。
この話は、昨夜訪ねたそのレストランのオーナーから聞いた話で
す。
我が社の年賀状、歌舞伎界にデビューか!