2006年8月30日
柳原良平さんの尊顔をひさしぶりに拝見した。8月28
日の読売新聞の「くらし」というページに「柳原良平さ
んのお品書き」という記事があり写真が掲載されていた。
新聞は自宅では東京新聞を購読しているから、「柳原さ
んのお品書き」という連載ものなのか「お品書き」シリ
ーズに柳原さん登場なのかはわからない。略歴に、画家。
1931年生まれ。京都芸大卒。寿屋入社。開高健さん
らと広告を手がける。9月1日から10日まで「せんた
あ画廊」で個展を開催。とあるから当年とって御年75
才バリバリの現役で写真もお若い。柳原さんの絵で有名
なのが1958年にテレビコマーシャルに登場した「ア
ンクルトリス」。2頭身の初老のサラリーマンがしょん
ぼりとバーに入り、ウイスキーの杯を重ねるたびに顔を
赤らめ、しあわせそうな表情になってバーを出る。そん
な姿がサラリーマンの共感を呼んだ。その後サントリー
はレッド。角瓶。オールド。リザーブ。と順に高品質ウ
イスキーを発売し、アンクルトリスはテレビに登場しな
くなったが、その後つま楊枝入れとなってバーのカウン
ターに置かれるようになった。岡崎の古くからあるトリ
スバー・プランタンには今もアンクルトリスのつま楊枝
入れがカウンターにおかれている。柳原さんは横浜・山
手町に住み港や船やバーをこよなく愛してきたから、さ
ぞハイカラな食べ物のだろうと記者は予想したらしいが、
意に反して「お品書き」はレンコンの煮染めだった。
レンコンといえば俳人・久保田万太郎の「レンコンは穴
が美味い」という名言があるが、レンコンはともかく船
の食事についておもしろい話を聞いたので書いておこう。
料理家の辻静夫さんが「船の食事は美味いわけがない。
太西洋航路。サザンプトンを出航した豪華客船はニュー
ヨークへ着くまでの1週間、何百人の客が必ず日に3度
食いに来る。レストラン稼業としては楽なもので本当に
手の込んだ美味いものなんて出すはずがないんです」と
言われたという。いつかは豪華客船でゆっくりと船旅を
してみたいと夢見ているが、24時間航路だったら乗っ
たことがある。朝10時に竹芝桟橋を出た船は翌日の朝
10時に小笠原諸島・父島の二見港に着く。この船のレ
ストランが辻さん原則を絵に描いたようなレストランだ
った。サービスという概念もまったくなく、自販機など
陸より20円がた高い。幼かった我が家の子供達は持ち
込んだカップラーメンの方が美味いと言う始末だった。