2013年7月16日。午前10時45分。
ホテルの裏にミラノ大聖堂がある。
大聖堂は聖母マリアに献納されているドゥオーモで50
0万人のカトリック信者がいる世界最大のミラノ大司教
区を統括する聖堂である。
この大聖堂の建設の歴史は、最初の石が置かれた138
6年に始まり、500年かけて1813年に完成した。
アントニオ・ガウディーの設計したスペインのサグラダ・
ファミリアは1882年に竣工し2013年の今日にな
ってもまだ建設中で完成していないが、ミラノ大聖堂は
500年も要したと云う。人間の信仰の偉大さとカトリ
ック教会の巨大な権力にただ圧倒されるような思いで尖
塔を見上げた。
美術彫刻作品のような建物であるが何しろ800年も前
からの建築物である。次から次とあちこちで修復が必要
らしい。数十メーターの腕を持つ巨大なクレーンが大聖
堂の横っ腹にくっつきノロノロと修復が続いていた。
写真はミラノギャラリー。ミラノ大聖堂の完成と同時期
の19世紀の建築。石とガラスと鉄でできていてアーチ
が美しい。
ここでマルコとニコレッタと待ち合わせた。
マルコはPRのプロフェッサー。長い間ワーナーブラザ
ースの映画宣伝を仕事としてきたが、近年は映画会社の
宣伝もテレビラジオ雑誌からインターネットを主力にす
るようになってきてるので、今現在はクライアントの多
くは映画界ではなくゲーム会社だそうだ。
左 ニコレッタ。中 ヤースカ。右 マルコ。
ランチを終えコーヒーを飲もうと街を歩くと不思議な大
道芸人を見た。坊さんが片手で棒を持ち、その棒の上で
もう一人の坊さんが座禅を組んでいる。
これを撮った写真が3枚あるがこの芸当が日の光と影の
境で行われていることに気がつく。。。。
マルコは集団戦闘ゲームソフトの宣伝に、ゲーム愛好者
を300人募集し、その素人達を軍隊に仕立て、スタン
リー・キューブリックの「バリーリンドン」さながらの
大戦闘シーンを再現し、イタリア中のテレビ、新聞が報
道し、宣伝を大ニュースにしたてあげた敏腕プロデュー
サーである。
その話しを聞いた時、誰がその戦闘シーンの演出や全体
の統括をしたのかとしつこく聞いた。300人ものエキ
ストラを使っての戦闘シーンの撮影は大ごとなのである。
ましてや出演者はプロのエキストラではなくそのゲーム
の愛好者と云うだけの素人の300人の集団である。
映画チームを丸ごと雇って実行したのだろうと思ったら、
すべてマルコがやったという。演出も軍服の調達から戦
闘の陣形まですべてマルコが統括したというから、ただ
驚くばかりだったが、後日、マルコは元イタリア陸軍の
司令官であったときいて、なるほどゲームソフトの宣伝
のための演習と云え戦闘シーンの統括は本物だと合点が
言った。
マルコの相方のニコレッタはワーナーブラザースを通じ
てワーナーミュージックと契約を持っている。イタリア
音楽業界へのアプローチに関してのアドバイスをくれた。
マルコは写真を見れば分かるように伊達男。
是非君のテーラーを紹介してもらえないだろうか。
ついでに君の靴屋も紹介してもらえないだろうか。
というのが隠れた主題でもあった。
マルコの行きつけのテーラー。サルトーリア・ロッシで
仕立てたスーツがこれ。
今回の仕立てでこのテーラーはヤースカの身体の寸法を
持っているから、私は日本から生地の選択だけすればこ
のテーラーがスーツを仕立ててくれるのである。
太ったり痩せたりしないようにしよう。
胸のチーフは担当してくれたアレッサンドロ・カルデラ
ーロ氏からのプレゼント。また彼は特注した靴が意外と
高い値段になってしまったからと、スーツの仕立て代を
勉強してくれた。