斉藤君見参
銀座のとある店の入り口の階段の上がり口で長渕剛がインタビュー
を受けていた。長渕剛と書いたが、いくら以前は一緒に仕事をした
間柄とは云え、呼び捨てにするのは失礼だろう。
長渕剛さんがインタビューを受けていた。
どうやら、その店で行われるパーティーに彼も出席するらしい。
彼はインタビューをすませると、パーティーが始まるまで地下にあ
るバーで時間をつぶそうと階段を降りてきた。
そこでばったり顔を合わせた。久しぶり元気?と互いに挨拶を交わ
し、一緒にと誘われ二人で連れ立って地下のバーへおりて行った。
そのバーは小振りなバーで、客で混んでいた。
長渕さんから「うちのスタッフです」と紹介された人から名刺をい
ただいたが、あいにく名刺を持ち合わせていなかった。1月の初週
はレコード協会の新年会があり、その次の週は音事協の新年会があ
り、今週は音制連の新年会がありと新年会続きで、その都度多くの
人と名刺交換をしたから、手持ちがなくなってしまっていた。
紹介された人は、お話は伺ってます。お顔も存じておりますので名
刺はなくても結構ですと丁寧だったが、やっぱり名刺がないことが
気になっていたら、隣のテーブルに音制連の事務局長代行の斉藤君
がいた。
「斉藤君。今日のパーティーの為に僕の名刺は持ってきてくれたん
だろうね」と声をかけると、斉藤君ちょうどサンドイッチを口に
入れたところで、物を食べながら返事をするので、何を言ってるか
よくわからない。モゴモゴ言ってちゃなんのことかわからないよ、
と言ってると、パーティーの開演を告げるベルが鳴った。
なんで地下のバーでパーティーの開演のベルが鳴るんだ?
それにしても名刺を持ってないなあ、、、
と思っているといよいよ開演ですとでも云うように、何度も何度も
ベルが鳴って、目が覚めた。
目が覚めると電話が鳴っていた。
「おはようございます。宅急便です。代引で品物が届いております。
これから伺ってよろしいでしょうか。代金は、、、、」
と朝っぱらから電話のむこうで元気な声が響いた。
長渕さんは幾度か夢に登場いただいているが斉藤君はサンドイッチ
食いながらも初見参だったので、別にどうってことない夢だけど、
忘れないよう書き記しておくことにした。