2006年3月9日
事務所にJETROの(ジェトロ・外務省の外郭団体・日本貿易
振興機構)のN氏が現れて、テレビ出演をしなさいと言う。
N氏は、ジェトロの総務部広報課にいて「世界は今」という国際
ビジネス情報テレビ番組を作っている。
私が代表を務めている音楽業界団体「音楽制作者連盟」は毎年春
3月に、国内外のインディーズバンドを集めて「インディペンデ
ンス・デー」というイベントを開催しているが、ジェトロも後援
いただいている関係で、そのイベントの特集番組に代表者として
インタビューに答えなさい。布袋さんの海外展開も語りなさい。
というのである。
制作企画会議・宣伝会議などで自らの視点で自らの考えを伝え会
議に参加している全員に理解させるという事は、マネージメント
という仕事の観点からとても重要なことで、仕事をやりはじめた
ころはなかなか出来なかったものだが今はそれが私の仕事である。
ところが、大勢の人前で喋る。とか。
結婚式のお祝いのスピーチをする。とか。
音制連主催の新年会で1300人の来客を前に新年のご挨拶をす
る。とか。のことは大の苦手なのである。
まして、テレビのインタビューなんて・・・・・
N氏に、来週には返事するよと答えておいたが、言いたいことは
山ほどあれど・・・テレビ出演はなあ・・・ちと憂鬱な気がして、
iチューンズのライブラリーから、「新・仁義なき戦い」のテー
マを聴いていると、目の前に置かれた読売新聞の「許すな組織暴
力。建設残土・利権の山」という見出しの記事が目についた。
映画「新・仁義なき戦い」で阪本順治監督は、豊川悦司演ずるち
いさなやくざの組の建設残土・産廃利権の抗争を描いていた。
映画を観た当時は、何故、豊川悦司親分の組が建設残土や産業廃
棄物に特に関係するのかという利権の構造がまったく分かってい
なかったが、この記事を読むと、産廃はともかくも建設残土は埋
め立て地に使える「資源」という位置づけで、投棄を規制する法
律はなく、各地方自治体にも残土条例はあるものの許可をとらな
くてもいいとされている部分などがあって法律に抜け穴があると
書かれている。法律に穴があれば、それを取り扱う仕事が利権に
なっていくのは当然であろう。
しかし、阪本さんは良くそんなこと知っていたな。
映画が監督の手によって、フィクションという絶対虚構を中心に
据え真実を描き出すことで総合芸術として完成されるのであるか
ら、いくら暴力団の映画とはいえドンパチのアクションシーンだ
けで造ればいいというものではない。真実を描かなければならな
いのである。もう一度「新・仁義なき戦い」を観てみよう。
あの当時は真実に感じられなかった見逃していたシーンが山ほど
ありそうだなあ・・
と書いていると、いつの間にか「新・仁義なき戦い」の音楽は終
ってしまっていて、レッド・ツェッペリンの移民の歌が流れてき
ている。頭の中が「テレビ」と「新・仁義なき戦い」と「ツェッ
ぺリン」でぐるぐるまわり、まるで洗濯機の浴槽の中に放りこま
れたようになってしまったが、だからといって頭の中がきれいに
洗濯されたわけでもなく、テレビインタビューどうしようか・・
結論の出ないまま時間が過ぎていく。