2006年5月16日
ベルギーはベルギー語というものはなく、言ってみればフランス
語のベルギー弁。国の北部はオランダ語圏で南部がフランス語圏。
この3つがゆるく混じり合っているのがベルギー。
そのベルギーのオランダ語圏の農民の話を聞いた。
語り手はオランダ人。
その農民Aはアムステルダムには”ロジカ”(論理:ロジックの
こと)というものがあるそうだと聞いて、是非学ぼうと出かけた。
アムスのロジカの先生が、農民Aに聞いた。
「お前、魚が好きか」
「好きです」
「じゃ、金魚鉢を持ってるだろう」
「持ってます」
「ということは、動物が好きということだな」
理論は理論のなかで成長していく。
「お前が、動物好きであるということは、お前が人間好きである
ということである。人間には男と女がいる。双方好きあう。見
ればお前は男だ。となれば、お前は女が好きということだ。そ
うだろう」
「そうです。みごとにあたりました。私は女好きです!」
農民Aは,魚好きから女好きに至ったロジカの見事さにおどろき、
ベルギーの村にかえって、べつの農民Bに試してみた。
「お前、金魚鉢もっているか」
「持っていない」
最初から、うまくいかなかった。演繹法が破綻し、しばらく絶句
してから・・・・
「お前?ホモか」
といったという。
これには笑ったが、笑った後で、このジョークはオランダ人とベ
ルギー人の関係の何を表しているんだろうかと考えてみた。
オランダってなに?と聞かれれば・・・
ネーデルランド(低い土地)に住み、教会の下になにもかも支配
されているカトリックの王国であるスペインから、商売の自由を
もとめ独立した国。
だが、英国がオランダのこの独立戦争を支持し側面フォローをし
たにもかかわらず、あまりにも商売に熱心でありすぎて、或るオ
ランダの会社は武器を敵方のスペインに売り儲けていた。このこ
とは、英国にとっては不愉快なことで、ダッチマネーとかダッチ
ワイフとか英語でダッチがつく言葉はあまり上品な言葉として使
われない。
スペインからの独立後、世界で一番最初に「資本主義」を発明し
た人々。東インド会社を設立(家康の時代)。その東洋貿易船に
乗ってはるばる日本までやってきた。商売でやってきたにすぎな
いからキリスト教の布教を目的としたスペイン・ポルトガルとは
区別され、長崎に出島を与えられ貿易を認められ、江戸期を通じ
てヨーロッパ文明を日本にもたらした国。
レンブラント・ゴッホを生み出した国。
チューリップを改良し世界中に輸出した国。
あまりに麻薬犯罪が横行したので、特定の教会を政府の管理下に
おき、そこであればマリファナも吸えるとしたところ、青少年の
麻薬犯罪件数がぐっと減ったので、今は政府公認のマリファナを
売る店がある国。
政府公認の公娼制度がある国。
アムステルダムの飾り窓はあまりにも有名だ。
あとは風車。木靴。大堤防。
オランダについてはこのくらいのことは思いついたが、
さて、ベルギーは?・・・・・・・
チョコレート。
ルーベンスに代表されるバロック美術の国。
フランダースの犬の舞台のなったアントワープが首都。
かって良質な鉄の生産で産業革命を支え続けた国。
EU連合本部が置かれている国。
ベルギー料理はなんだっけ。
どーもそれくらいしか思いつかない。
結局ベルギーについては何も知らないのである。
何も知らないからジョークの寓意がわかるはずもない。
ただ「お前はホモか」というオチに笑えただけで、見事!という
切れ味を持った腹の底からの笑いはわき上がってはこなかった。
ベルギーって何んだっけ・・と思考の淵に座り込むまもなく、
「お客様がいらっしゃいました」と声がして、
「なに考え込んでるんですか?」と来客登場。
今日1日で7つあるミーティングの4つ目が始まった。