2006年7月20日
麻布の或る飲み屋では私は「なっちゃん」と呼ばれている。
なぜ「なっちゃん」であるかはまあどーでもいいが、嘘偽って飲
むのが好きというわけではないので一言だけ書いておく。
名を名のって身分を名のって飲むというのが銀座のクラブの式で
あるらしいが、自分にはなんだかメンドクサイ・・・気がする。
店と自分の関係は、ただのどこかの機嫌のいいお客さんであれば
それでよしと思っているので、沖縄帰りの私を見た店のママさん
が日焼けしてますねえというから、
「名は岡崎堂でござる。仕事はナニナニでござって、ご存じであ
ろうが彼のダレダレさんと一緒に頑張っておるのでござる。沖
縄にはこういう所用で行ってまいった」
などとは言わず、
「ココナッツとでも呼んでくらはいな」
と答えたところ、いつのまにかココが取れてなっちゃんと呼ばれ
ている次第でござる。
その店にたまに同行するSは「和田」さんでKは「スギ」さん。
文化庁賞をもらった「あの絵描きの和田」さんと「イタリーの
絵描きのスギ」さんは、実は我々であると連中は名のっている。
その和田さんスギさん盗作騒動が一段落した感のある昨日の夕刊
に、ビートルズの「イエスタデイはカバー曲?」とのニュースが
報じられていた。
この新説を唱えたのは、イタリーのリッリ・グレコという作曲家
で、この曲は1895年に作曲されたナポリ民謡のカバー曲でジ
ョンもポールも世界の音楽に広い知識を持っていて、特にナポリ
民謡はお気に入りだったと主張。そしてテレビ番組でこの元曲が
演奏されたが、確かにイエスタデイに酷似していたそうな。
しかも、ビートルズの伝記では、ポールがイエスタデイの作曲直
後、無意識のうちに盗作したのではと「1ヶ月ほど音楽関係者に
この曲を以前聴いたことがないかと尋ね回った」と述懐したと記
されているらしい。
仮に、この新説がなんらかの真実を含んでいるとすれば、ポール
も麻布の店では「ワダちゃんでデース」と名乗ってもらおうか。
あり得ない光栄だが、もし私がポールをその店に連れて行ったと
したら、また日本人みたいな名前のヘンなガイジンさんねぐらい
のオキラクな対応が関の山で、ポールも気が休まると思うよ。