2006年8月9日
先日、午前中私用があって午後1時ころ会社にでた。
朝飯を食いそびれていたから、会社にでるまえに麻布十番のM川に
よってうなぎを食おうと全日空ホテルの先を左に飯倉片町のほうへ
むかうと大渋滞していた。
工事でもなさそうだし事故でもなさそうだ。坂下の谷町から混んで
いて、のろのろと坂を上がっていくと、遠くの方からなにか大声で
叫んでいるのが聞こえてきた。ドンチャンドンチャンと威勢のいい
曲もかかっている。ははーァ。街宣車のようだな・・・
昭和20年8月6日。アメリカ空軍のB29エノラゲイから投下さ
れた新型爆弾は、地上すれすれの空中で爆発し一瞬のうちに広島を
地獄と化した。世界で初めて原子爆弾が落とされたのである。
その3日後の8月9日には、長崎が被爆する。
戦争当事者ではない一般市民が標的にされたのである。
そして日本は連合国軍の要求する無条件降伏を受け入れ、6日後の
8月15日、昭和天皇は自ら玉音放送で敗北と終戦を告げる。
その直前のことであった。
「日ソ不可侵条約」を破り、ソビエト軍が当時の日本領土としてい
た満州(中国東北地区)に雪崩を打って攻め込んできたのは。
日本の敗北を確認したソビエトの条約破棄は、戦勝国側の戦後処理
の権益を守るということであったろうが、その結果はあまりにもひ
どかった。これにより、日本兵士と市民がシベリアに抑留され数十
万人という日本人がそこで帰らぬ人となった。
歴史を振り返るとソビエトはオロシァと云われた江戸時代の昔から、
いつも鍵の掛かっていない裏口からそっと忍び込んでくるような不
気味さがあったと司馬さんも書いていたなあ。
世界で一番きれいな女性はロシア人だよ。と言われる。
ビクトリオ・デ・シーカの「ひまわり」に登場するマストロヤンニ
のロシアの恋人は、妻役を演じた女盛りのあのソフィア・ローレン
をはるかに凌ぐ美しさで、生きる希望も恋もうしなったソフィア・
ローレンがロシアの見渡す限りのひまわりの大平原をどこまでも歩
き続けるラストシーンに、ジェラシーというもう一つの感情が加わ
り女の悲しさを浮き彫りにしていたなあ。
ロシアの人々はほんとに良い人ばかりだが国家となると問題多いね。
とも言われる。
この話は以前書いたかもしれないが、大統領の電話代の話。
アメリカの大統領が毎日地獄に電話した。
ソビエトの大統領も毎日地獄に電話した。
翌月、地獄から電話代の請求書が届いた。
ホワイトハウスに届いた電話代はクレムリンに届いた電話代の数倍
も高かった。早速アメリカは地獄に抗議した。帰ってきた返事はこ
うであった。
「ソビエトの方がずっと地獄に近いものですから」
これは、ソビエト崩壊前のロンドンで聞いた東欧諸国の人々のジョ
ーク。
飯倉片町のロシア大使館前には数台の街宣車が、かっての日ソ不可
侵条約破棄について大声で非難の罵声を浴びせていた。機動隊の車
もあちらこちらに数十台も配備され警備にあたっている。信号が何
度もかわるが車はいっこうに前に進む気配はない。
こりゃ通過するには時間がかかり過ぎるなと片町から麻布十番のう
なぎのM川に向かうのはあきらめ、会社に来たのだった。