2006年10月19日
4月の腹痛入院騒動を忘れたかのように生活しているが、
1ヶ月に1回の定期検診があり、その日は外来の「患者」
としてかかりつけの内科のS先生から問診を受け、先月
の血液検査の報告がある。腹は順調に活動していて、た
いがいは、
「まあ特に問題はないと思われますが」
と、安心させられるが、
「用心に越したことはありません。無茶をしないように」
と、医者は釘を刺すことも忘れない。
病院は、どこでもそうなんだろうと思うが、お年寄りの
患者が多い。初診の患者さんが受けつけの前でどう手続
きをしたもんかとうろうろしている。
「健康保険証持ってきましたかアー」
と受けつけ係。耳が遠い場合もあるから大声で聞く。
「あれェ。どこやったんだろう。たしか出るときカバン
にいれたはずなのに・・。おじーさん。あんたわたし
の健康保険証もってないイ」
「わしが・・・持ってるわけないだろうゥ」
となりの再来受けつけも、
「月が変わりましたので健康保険証を提出してください」
「毎月来てわしとわかっているんだからいいんじゃない
の。忘れちゃったよォ」
「○○のおじーさん。いつも言ってるでしょう。規則な
んですから。忘れないでね。じゃあそこの書類に書き
こんで持ってきてください。次の方どーぞォ」
となかなか速やかに事が進行しなく、2つある受付つけ
はいつもこんな調子で混み合っている。まあ時間がかか
る。
検診が終わり、病院を出ると目の前にタクシーがとまり
客を下ろしたので、それをつかまえ事務所に向かった。
新橋にさしかかるといきなり大渋滞につかまった。
デモ隊に遭遇したのである。タクシーは全然前にすすま
ない。デモ隊に沿って、通行できる片側一車線には警備
のためパトカーものろのろと伴走している。ますます前
に進まない。
デモ隊は、年金改革反対!のデモ隊で、参加している人
は総じてお年寄りで、歩みはのろい。かなりの人が参加
しているようで隊列は2キロほど延びていて、ますます
進まない。
「年金改革ハンターイ!」
と先導の年金組合のワゴン車の屋根に取り付けられたス
ピーカーが叫ぶと、いっせいに、
「年金改革ハンターイ」
と皆が叫ぶ。列が長いから、
「ハンターイ」・・「ハンターイ」・・「ハンターイ」
と声が遅れて続いて、こだまのように聞こえる。
垂れ幕を何人もで掲げている人もいるが、棒にむしろを
括りつけ旗竿のように掲げている人もいる。何人もいる。
何本も何本もむしろ旗が林立している。あれじゃまるで
百姓一揆のようだなあ。今時、むしろかい。
と進まぬタクシーの中からデモ隊を見ていると、なにや
ら近くのどこかで火事が発生したらしく、デモ隊と渋滞
に消防車と救急車が割り込んできて、あたり一帯は急を
告げるサイレンの音と「ハンターイ」のスローガンの叫
びが入り混じり騒然としてきた。
デモ隊を一時止め、消防車と救急車を先導し、騒ぎがや
っと治まったのは30分も過ぎた頃だったろうか。まあ
時間がかかった。
病院では、すこし元気のないお年寄りを。
デモでは、かなり元気なお年寄りを同じ日に見た。