2007年2月22日
中国は今旧正月で、あけましておめでとうございますは、
「新年快楽」シンネンカイルー!と言います。
とハワイマウイ島から便りが届いた。
昨年から某大手代理店の北京の中国支社長に就任したS
さんからの便りである。日本の本社よりはるかに少ない
人数であの広大な中国マーケットを取りしきるのだから
苦労は並大抵ではないだろう。しかも、中国国営の映画
会社との合弁会社でもあるから、従業員の大半は中国人
であり、彼の国と我が国との風習のちがいもあり、たま
たま上海でSさんと会ったときなどは面倒見が良い彼を
頼って部下から仕事についての相談ごとで携帯が鳴りっ
ぱなしだった。優しい笑顔の向こうに強靱な精神力を持
つ彼ゆえに務まっているのだろうが、それはそれで心労
もたまるのだろう。
ひさしぶりにゆっくりするために早めに休みをもらって
海を眺めながら命の洗濯をしています。とマウイ島から
便りが届いたのである。
ついでに、今年の夏に計画しているチベット高原列車の
旅について、とても人気が高いようで、そろそろ予約が
必要かもしれませんと書き添えてあった。
2年ほど前に開通した路線で、北京からチベットのラサ
まで車中で2泊か3泊の長距離列車の旅で標高差は50
00メートルにも及ぶ天空への旅である。
Sさんの先輩が昨年体験した。白く陽に輝くヒマラヤの
山々の背後に広がる黒みがかったあの青い空。神に一番
近いところにいる思いがした。人生観が変わったよ。と
のたまわれたそうで、いやがおうにも期待感が高揚する。
子供のころは世界地図を見るのが好きで、ヒマさえあれ
ば地図を開き、オリンポスの丘。クノッソス。エジプト。
ピラミッド。スフィンクス。サハラ砂漠。ケープタウン。
カサブランカ。ケニア高原。キリマンジャロ。
コートジボアール。バクダット。死海。イエルサレム。
サウジアラビア。ボスポラス海峡。ジブラルタル海峡。
ケルン。スコットランド。コッドウエル。
ニューイングランド。ナイアガラ瀑布。ロッキー山脈。
イエローストーン。マッキンレイ。キーウエスト。
カリブ。ハバナ。インカ。アマゾン。イグアスの滝。
ナスカ高原。リオデジャネイロ。喜望峰。タヒチ。
ハワイ。ミクロネシアの島々。トラック諸島。ボンベイ。
アンコールワット。カブール高原。ハイバル峠。
タシュケント。ゴビ砂漠。タクラマカン砂漠。敦煌。
西安。万里の長城。ヒマラヤ。ラポタ。チベット。ラサ。
etc、etc・・・
いつの日か訪れる日がくることを夢想し飽きずに眺めた
もので、愛知県岡崎のちいさな町の片隅で子供の僕は地
図で世界と繋がっていた。
おかげで中学生になって社会科で地理を教わるようにな
るとその成績はすこぶる優秀であったというオマケもつ
いた。長じて、夢想したところを訪れることができたの
はほんの数カ所にしかすぎないが、その夢は心の片隅に
いつも消えずにいる。その夢のひとつがこの夏に叶うの
かも知れないと思うと、いやがおうでも期待は高まるの
である。
聞くところによると、車中の食堂車の飯は期待するほど
のものではなさそうだということだから、そうだなあー
カップヌードルはマストだな。梅干しも持っていこうじ
ゃないか。いちおうインスタント塩焼きそばも手に入れ
ておこう。
赤坂のふぐ屋のオヤジは毎年2ヶ月ほど海外旅行に行く
が、かならず日本食の非常食をバッグに詰めて出かける。
一昔前の非常食は乾パンなどが定番で、あんなに固いも
のは食えたものじゃない。特に歯の悪い年寄りには食い
物とは云えない。ところが最近はどんどん良くなってき
ていて、非常に美味いものがたくさんある。非常食とい
ってもバカにできませんよ。日本飯が食えないところに
出かけるときは便利ですよ。と、言ってたからリストを
つくってもらっておこう。そうそう薬も忘れれはイカン。
さらに聞くところによると、ラサの町のトイレの事情は
極悪なようだから、ひとつ紙おむつも持っていくか。
そこまではいいんじゃないか。いや。俺は昨年腹痛で入
院したときに、ベッドの上で3日間寝たっきりの点滴暮
らしをしたが、点滴には栄養源も入っているが腸をきれ
いにするための下剤も入っていて、用心のためといって
看護婦に紙おむつをはかされた。はじめのうちこそ妙な
感じだったが、慣れるとあれはあれで気楽でここちよか
ったぞ。念のため持っていくか。看護婦がはかすからこ
こちよかったんじゃないですかァ。では看護婦も持って
いくか。などと邪心を抱きつつ無邪気に心待ちにしてい
るのである。