2007年6月7日
プレスリーの「ハウンド・ドッグ」。
「You aint nothing but a ho
und—dog」 を、
英語をおぼえたての、あの時代の子どもは(わたくしの事
でもあります)
「ユエン ナツバラ ハーンド・ドッグ」
と歌ったけれど、伊丹十三さんはそれを、
「湯煙立つ 真夏の原や 狩りの犬」 と詠んだ。
この話は、「洋酒天国」から「婦人公論」に書き継がれ、
後に単行本となった伊丹さんの著書「ヨーロッパ退屈日記」
の後半に出てくる話である。後半は、どちらかと云うと言
葉の話、英語の話が中心となっていて、学業にいそしんで
いた中高生時代はそれなりの興味を持って読んだが、大学
を離れ勉強から遠ざかるにつれ、次第に後半は敬遠して、
前・中半をくり返し読むようになったのであるが、このハ
ウンド・ドッグに似たような思い違いはいくつでもあった。
ルイジアナ・ママの「ロニオリ」も、「フロム ニューオ
リンズ」であった。
怪人Tもカタコトとは云え北京語を操ったが、タクシーに
乗って行き先を言っても、
「阿ー?」「阿ー?」と言わっれぱなしで、自分の家に帰
れないこともありますよと言っていたくらいだから、ユエ
ンナツバラやロニオリ的な発音違いも多々あるのかも知れ
ん。
怪人は北京語を習うにしても学生のように、四音(日本語
で言うところのあいうえお)から習っても覚えられるもの
じゃない。それに時間がかかりすぎる。俺は仕事に来てる
んであって忙しくてしょうがないんだ。
北京駅はどこですか?
その道を右に回ってくれ!
などの実戦北京語を習うしかないんだ。誰か良い先生を紹
介してくれと出口君に頼んだが、紹介されて来た先生は6
5才のおばあさんであった。いくらなんでも勉強にも楽し
みがあると云うものだろう。もちっと、できれば、若くて
きれいなネエサン先生がいないもんやろかと出口君に相談
すると、つぎに来た先生は62才のおじいちゃんであった。
フム。これは出口君。ナニカ含むところがあるのだろうと、
一旦は先生の紹介をお断りして、現在はぶっつけ本番無手
勝流の実戦北京語会話でやっているようだから、北京人に
とっては、怪人はユエンナツバラ君でもありロニオリ君で
もあるのではなかろうかと考えると微笑ましい。きっとこ
んなんではなかろうか。
「我欲迄帰宅○○大路!」
「「阿ー?」
「願許可喫煙車内」
「阿ー?」
「誰知也?於山東半島之山奥村前面存在臍下女麺店」
「阿ー?」
などなどやっているのではないか。