2010年10月18日
MGでロングドライブ。
1961年製の50年前の車だがエンジンは昨年オーバ
ーホール(Overhaul=機械部品を部品単位まで
分解して清掃・再組み立てを行い、新品時の性能状態に
戻す作業)をしたばかりでまだ900㎞しか走っていな
い。言うなれば新品同様のエンジン。馴らし運転であと
4000㎞ばかり走らす必要がある。ちょこちょこと街
乗りを連続していると折角の名エンジンを台無しにして
しまう恐れがあるのである。
S社というトランスポート会社があって古くからのつき
合いであるから、その会社のドライバーとも顔見知りで、
コンサート会場などで会うと世間話などに興じるが、連
中に言わせるとS社の大型トラックはそんなにスピード
がでないそうだ。
「だって看板背負って走ってますから重量オーバー、ス
ピードオーバーは禁止です。規則通りに走行するって
のが当社のモットーです」
ツアーが始まると照明や音響機材や楽器を積み込んだ大
型トラックが会場から会場へと走るが、そのトラックに
は
<HOTEI・ROCKTOUR 2010>
などとアーティストの名前が大書きされた看板がはめ込
まれている。連中は看板背負って走っているのだ。
「そりゃそうだろうが、それとスピードが出ないという
のはどんな関係があるんだィ?」
「ある個人が大型車を持っています。その人はある水産
会社から仕事を請け負って静岡の港から築地にサカナ
を運びます。そのサカナは福島の港からも三重県の港
からも運び込まれます。値は早い者勝ちで後れを取る
わけにはいきません。特に夜間は監視の目がゆるみま
すから飛ばせるところは飛ばすだけ飛ばします。その
車のエンジンは能力の最大値まで常時使われることに
なるのですが、われわれは看板背負ってますから順法
走りです。エンジンをフルスロットルでまわすことな
んかありません。もし大型車競争・東京~京都間よー
いドン! でレースしたら、僕らはどん尻です」
そんな話を聞いたことがあるからオーバーホールして新
品時同様になったエンジンの能力は自分で開発しなけれ
ばならない。
先週末、快晴の東名高速道路を岡﨑までひた走った。
100㎞・約1時間走行を1セットにしてそこで休憩す
るを3回くり返し岡﨑までの300㎞を走ることにする。
まずは早めだがガソリンを満タンにしておきたかったか
ら海老名で第1回目の休憩。順調。
第2回目はすこしだけ長く走り日本平SAで休憩。順調。
東京からここまで約2時間半。腹が空いたから何か食お
うと思うが腹一杯になると眠気が来る。空いた小腹を軽
く満たせばいいんだがなにがよかろうか、、、と捜すと
風に乗ってプーンと美味そうな匂いが漂ってくる。屋台
でイカを焼いている。350円が高いか安いかよくわか
らないが迷わず買った。お茶と串刺しの焼きイカを手に
車に戻ろうとすると、我がMGのまわりに人だかりがし
ている。近くに停まった大型バスから降りてきた乗客の
方々達で、団体旅行かと思われるがそれなりに結構なお
年を召されたご年配の先輩方で、まあ、MGはあの年代
の皆さんの青春のシンボルだったような車である。珍し
さと懐かしさで集まっていただいているようだ。そこに
お茶を片手にイカを持った男が現れては夢を壊すようで
いけんことやろうと車を遠くに見てベンチに座ってイカ
を食う。350円の焼きイカは見た目より固く難儀した。
匂いほどは美味くなかった。これでB級グルメにも挑戦!
などと意気込んだ小ポスターも貼られていたがナメたら
いかんぜよ。こんなもんエントリーもでけまへんでえ。
また、つられて買うがあとでちょっと反省という日本の
こういう屋台商品の商売のあり方にはおおいに問題があ
るなあ、、、と思いつつ固いイカをガムのように噛んで
お茶で流し込み食い終わると人だかりは消えていた。携
帯が鳴ってメールが入った。麻布自動車倶楽部のメンバ
ーであるGさんは伊豆で温泉浸かってから多摩のアウト
レットモールまでドライブ決行中というメールで、これ
また秋のロングドライブ結構なことだった。イカやらメ
ールやらで予定より長い休憩となったがエンジンには優
しいのかも知れない。
海老名から日本平まで、
巡航3500回転。
速度50マイル~60マイル。
水温華氏175F=80℃。
をキープしたから、この状態で岡﨑まで残り100㎞を
順調にドライブと行きたいところ。渋滞は勘弁して欲し
いとの願い通りに約4時間ほどかけて岡﨑に到着。
岡﨑に到着するとその足で康生町の気功整体院の保元堂
へ直行し、甫先生に長旅の疲れをとってもらった。甫先
生は広東省の出身。整体院で中医を勉強したが気功はお
兄さんが有名な気功師であったから子供の頃から自力で
身につけた。大学は広東の音楽大学に通った。院内で治
療中に優しくかかる二胡の音楽は甫先生のアルバムから
の音楽である。50歳の甫先生は40歳代の如く若く見
えるが、アルバムジャケットの写真はもっと若作りで写
っていた。
腰、首、肩を中心にやってもらいスッキリして、中学の
同級生の呉服屋のYの店に、
「帰ってきたぞー。なんぞうまいもの食わせろー」
と顔を出すと、まかせとけとばかりに上里の鉄板焼き屋
に連れてってくれたが、秋の味覚満載の海鮮&ステーキ
で美味かったなあ。
エンジンの馴らし運転だが、長い時間運転しているとそ
れはそれで疲れもするが、手や足や腰や身体が車に馴染
んできて、車の方も機械なのに不思議なことだがこちら
の気合いというか案配というかクセになれてくるようで、
やっと人・車一体となって自分の物になるようである。
翌日もまず保元堂にて首、肩をほぐしてもらい岡﨑イン
ターから一路東京へ巡航した。
帰路は、小笠、愛鷹、用賀の3カ所で休憩。大順調大会。
フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェ、アストンと名
だたる新車名車達に抜かれに抜かれたが、なんといって
もこの日の東名高速の主役はわたしのMGーAであった。